ちょっとしたコミュニケーションの工夫で介護が随分楽に

ちょっとしたコミュニケーションの工夫で介護が随分楽に
20代 いっちゃん

 

私の祖父は脳腫瘍を患った際に話す事ができなくなりました。腕を動かす事が出来ていた時は筆談や文字盤を指して家族とコミュニケーションをとっていましたが、次第に腕も動かす事が出来なくなり、完全に寝たきりになってしまうと、コミュニケーションをとるのが一気に困難になってしまいました。

 

瞬きや頷く事はかろうじて出来たので、此方から問いかけそれに反応するといった具合に会話をしていたのですが、やはりその方法にも限界がありました。

 

如何しても祖父の意思を汲み取れない場合が出てきてしまいます。此方から思いつく限りの事柄を提示してもただ違う、と首を振るのみ。

 

どうしたものかと途方に暮れてしまうという事がありました。お互い意志の疎通ができない事を歯痒く思うことがしばしば。
何か良い方法はないかと考えたところ、以前使っていた文字盤を再度使ってみる事にしました。

 

目線だけでは此方も文字を追う事が難しいので、文字をグループ分けし、祖父に瞬きで合図してもらう事にしたのです。
例えば、あ?さ行は○、た?は行は△、ま?わ行は□と分け、此方から「○、△、□」と提示していきます。そして祖父には該当する言葉の記号で瞬きをして貰う、といった感じです。

 

行が決まったら、次の段階に移ります。もし、○と答えたら、今度は○のグループの「あ、か、さ」を提示し、該当するところで瞬き。あ行と答えたら「あ、い、う、え、お」と提示しそれに答えてもらうといった具合に、相手の言いたい事を聞き出します。

 

慣れないうちはかなり時間がかかりますが、慣れてくると文字盤を使わず会話をすることができます。そして、この方法のもう一つのメリットは言いたい言葉を一文字ずつ聞いていくので細いニュアンスまで伝えることが出来るという事です。

 

それまで、大まかな意思疎通しか出来ていませんでしたが、文字盤による会話で祖父の言いたい事がずっと分かりやすくなりました。それからは、何を言いたいのかわからない…と戸惑う事もなくなり、祖父との会話も積極的に行う事ができました。

 

やはりコミュニケーションは大丈夫ですよね。介護はちょっとした工夫で随分楽になったりするのだとそのとき改めて思いました。