施設生活で人間として生きていく難しさ

施設生活で人間として生きていく難しさ
30代 みきお

 

ここに書いてあるのは、自分自身体験した経験です。今は、福祉制度を利用して一人暮らしをしています。
障害の関係で、自宅にもどれず、入院先から身体障害者療護施設に3年ほど入所していました。

 

施設生活は、楽しいより苦痛の毎日でした。私は、まだ比較的、自分で出来ることが多かったので、まだ、人間らしく生活ができました。

 

入所したてのころは、余りにも現実世界から離れた自由のない生活でした。ある程度、規則・規律はあるのはわかりますが、排泄も決まった時間にしなければ、間でお願いすると、嫌な顔をされ、ゆっくり排泄をすることすら、許されなかったのです。意思表示の出来ない利用者には、食事介助も無言で、ただ口に入れるだけ、口から食べ物が出ていても、そのまま、出たまま口もその周りもべとべとです。服が汚れても、そのまま放置する始末です。

 

体位変換では、身体の一部がベッド柵に当たっていても、そのまま当たったまま傷ができるのもしばしばです。着替えも身体に食い込んでいてもそのままです。入浴も、じゃがいもを機械で洗うように、石鹸はつけてもらえるものの、なでるだけで、お湯に浸かるのも野菜を湯通しするような程度です。

 

利用者側の気持ちを察してくれる職員は、ほとんどいませんでした。定期的な吸引しかしないので、痰の多い利用者は、次の吸引までに、苦しい思いをしてました。自分で意思表示ができない者にとって、耐え難いことです。これが、介護の現実なんだと愕然としました。

 

退所するか、自分が死ぬまで、毎日、この生活が続きます。人間らしく生きることができず、物としてみられて生きていかないといけません。介護は、確かに大変な仕事だと思います。給与も少ないのでしょう。でも、それを分かってやっている仕事であるならば、利用者を職員と同じ血の通った人間であることを分かってもらいたい、ひしひしと思います。利用者も、できるなら自分のことは自分でしたい。それが、出来ないからお願いをしているのです。

 

全員悪い職員ではありませんが、正しいことをしてくれる職員さんは、わずかですがおられます。その数少ない職員さんは利用者にとって、貴重な方たちです。その貴重な職員の方も、肩身が狭い思いをされています。今の世の中は、介護が難しいからと、老人も障害者も、介護施設に入所される人が多くおられます。

 

全ての施設がそうでないでしょうが、まだ多くの施設で、人間らしく生きれる施設は少ないと思います。少しでも、人間らしく生きれる介護施設が増えることを願います。